(本記事は、株式会社ITID 江口正芳氏の著書『』=日本ビジネス出版、2023年5月30日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)
気候関連の新たな事業創出
メガトレンド×企業の強み=魅力的な新事業
既存事業における温室効果ガス削減のみに囚われていては、いずれ限界が来ます。気候変動問題により、すでに衰退が見込まれている市場もありますし、予期しない外部環境変化により、既存事業だけでは立ち行かなくなる恐れもあります。
一方で、気候関連問題に伴う世の中の変化は激しく、数多の事業機会が存在します。社会の温室効果ガス排出量の削減に寄与する事業、水害などの物理的リスク軽減に寄与する事業など、気候変動に関連する社会課題の解決ニーズは今後さらに高まると思われます。新事業領域への進出も視野に入れ、新たな収益源の獲得、レジリエントな事業ポートフォリオ構築を図ることで、企業が持続的に存続・成長し、サステナブルな社会を実現することができます。
事業の多角化戦略を採る際、一般的に、無関連多角化より関連多角化の方が成功確率は高いと言われています。なぜなら、既存事業における経営資源を新事業でも利用でき、シナジー効果が得られるためです。
経営資源には、高い技術力、効率化された生産プロセス、サプライヤーとの良好な関係性、幅広い販売チャネル、顧客との継続的なつながり、多様な人材、ブランド力など、様々なものが挙げられます。そして、価値が高く、希少で、模倣困難性が高い経営資源、すなわち企業の強みを活用することで、新たな事業の成功確率が高まります。
しかし、強みを活かせる事業機会であっても、すでに成熟しきった市場もあれば、競争が激しい市場もあります。このような市場に参入しては、早々の撤退を余儀なくされてしまうでしょう。したがって、将来の成長が見込め、まだ競争が激しくない市場を狙わなければいけません。そのためには、気候変動問題に関わる社会の変化すなわちメガトレンドを押さえることが大切です。
気候変動問題に伴い、エネルギー供給、自然災害への対応などの社会課題が、これまでに増して顕在化してきました。これからも新たな社会課題が現れると予想されます。そして、これらの社会課題は、私たちにとって深刻なものであると同時に、多くのニーズの源泉でもあります。顕在化していないニーズに応える市場は成熟しておらず、まだ競争が激しくない市場も多くあります。
このような事業に早期に参入し、基盤を整えることで、収益を上げながら、参入障壁を高めることができます。このように、メガトレンドと企業の強みの掛け算で新事業を検討することで、新たな市場で長期的に収益を上げられる可能性が高まります。
